映画AK-47を観ました。2020年ロシア制作の作品です。

AK-47は世界で最も多く生産されたアサルトライフルです。故障が少なく極めて耐久性が高いこと。銃の扱いに不慣れな人でも容易に扱え、分解整備もできること。製造コストが安く、性能も高いことなどが挙げられる、間違いなく世界トップクラスの銃です。
このAK-47を設計したミハイル・カラシニコフに焦点を当てたのがこの映画作品になります。
若かりし頃のカラシニコフ自身は戦車兵として第二次大戦に参戦しており、最前線で戦う中、ドイツ軍戦車砲の直撃を受けた戦車内で腕を負傷。戦争に従事できなくなり野戦病院、内地へ向かうトラックといった場所で、ドイツ軍には強力な機関銃があるのにソ連にはまともな機関銃がない、という話を沢山聞くことになります。
カラシニコフは子供の頃から銃の分解や設計、ボーガンの製作をやってきており、専門教育は受けてなかったものの、機関銃を設計してソ連軍に貢献したいと考えるようになります。
戦地から実家に向かっていたところ、以前勤務していた、工廠を兼ねた鉄道機関区を訪ね、ここならば機関銃の設計が出来るのではと機関区長と交渉。機関区長からは工員は銃設計の助手としては使わせないと言われたものの、工員の中で賛同者が現れ、勤務時間外でカラシニコフを手助けし、機関銃の試作品を完成させます。
こうして完成した機関銃の出来の良さが砲兵総局長の目に止まり、戦争で使える機関銃を設計し、コンペに出品させよという命令を受けて従事。ここでは、設計アシスタントとしてエカテリーナを充てがわれます。最初、エカテリーナには距離を置かれ、カラシニコフは所謂、あなたや私のような典型的「モテない男」のような扱いを受けます。例えばエカテリーナをナンパする将校のスマートさを見せ付けられる場面があるのですが、嫉妬するカラシニコフには親近感、既視感があるでしょう。
カラシニコフの設計した機関銃はコンペを何度か受け、いい線に行くものの、採用に至る銃が完成する前に戦争は終結します。カラシニコフはエカテリーナと結婚し、戦争の終結と平和の訪れを喜びますが、銃を設計出来なくなったことで、青年時代の努力が全て無駄になったと絶望します。
しかし、ここでソ連が軍備強化を政策に掲げ、この軍備に歩兵用軽機関銃も含まれていたことから、カラシニコフに銃の設計をするように命令がくだります。こうして再びアサルトライフルの設計をするのですが、このときに「シンプルな銃がベストである」という軍部の要求をヒントに、新型アサルトライフルの設計を始めます。
それまでの機関銃は精密、複雑であり、泥や砂、水、氷のあるような過酷な戦地では銃が上手く作動せず、それが致命的になることはカラシニコフ自身体験済の出来事でした。そこで、部品点数を極力減らし、素人でも簡単に分解整備でき、泥や砂に浸かってもきちんと撃てる、AK-47の開発に至るのでした。
AK-47開発過程では、ライバルの妨害を受けつつ、コンペの前にAK-47の性能を見せ付けられたライバルは、コンペ参加を辞退し、AK-47に花道を譲ります。最終コンペでもライバルのアサルトライフルが水や砂で動作しなくなるなか、AK-47は水、砂がメカに入ってもものともせずに作動。的に見事命中するのでした。
この、メカから水や砂が吐き出されながら作動するAK-47の様子を見ると、大変感動します。
こうして、ドキュメンタリー的な構成の映画であり、カラシニコフの運、能力がチート級であったとしても、現実は小説より奇なりを地で行くものであり、決して誇張ではないのが驚くべきことですね。
私が初めてAK-47という銃を知ったのは1995年くらいのことであり、カラシニコフがまだ76歳の頃でした。世界的なアサルトライフル設計者が当時はまだご存命だったのですよね。時代的にも私と60年しか違わないですし、本当につい最近まで、戦車で戦うような戦争があり、現場で必要な機関銃を理解する機会があり、設計したという事実。戦争体験者だからこそ、こういう名銃が設計できたのでしょうね。